昨夜はですね、作品のスケールのデカさの割には同じ東映が配給する『相棒』と比べ、全くに近いぐらいに宣伝活動がされていない映画『クライマーズ・ハイ』を観てきました。

《以下ネタバレ注意》

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…物語の背景は死ぬ程重く、マスコミ&社会人の嫌な面をこれ以上ないぐらいに沢山見てしまい、しかもラストにカタルシスはない。

されど、とてつもなく熱い映画でした。圧倒されました。

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演技が達者な役者さんが複数出演していた効果で、物語の舞台である北関東新聞の社内の混乱っぷりが、恐ろしいぐらいに生々しかったところから考えたら、

ABCアシッド映画館の中で平野先生が、

『事故の発生した8月と近い時期に公開される関係で、大々的に宣伝しにくいし面白いとは言いにくい面もあるが、敢えてこの映画は面白かったと言いたい!』

と力説していたのも、いざ見終えたらこの意見に納得せざるを得ないですね。

観る前は『その見解って何じゃそりゃ!?』と思ってましたけど…ね。

とにかく、この映画の中全編に漂うあの尋常でない熱さは、素直に評価をしなきゃいかんのでしょう。



僕が一番印象に残ったのは、やはり映画のクライマックス。

墜落事故の原因を事故調査委員会から聞き出した後、販売部に大喧嘩を売った上で、それを翌朝の新聞に一面スクープとして掲載するかどうかを、

堤真一演じる悠木が、ほんの一瞬思い悩んで、一瞬の勘でスクープ掲載を見送り、結果的にはその決断が、他誌に出し抜かれた事でこれ以上ないぐらい裏目に出てしまうシーン!

日航機が消息を絶ってから、社内の各方面とあれだけモメて、約束を反古にしてしまった大事な同志は病に倒れ、部下を不慮の事故で亡くし…

少々時代遅れの表現になりますが、それこそジェットコースターの如き様々な流れを経て、

普通の遊軍記者の感覚ならば

『100%の確信が持てなくても、勢いで一面に載せろ!』

となっていた状況なんでしょうけど、記者人生最大級のターニングポイントで『スクープが誤報だった時のリスク』が頭によぎってしまうという、決して若くないが故に際立った土壇場での悠木の慎重さ!

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しかも、悠木からみたら時代遅れとしか言い様がないぐらい頭の堅い上司達からは、悠木のその慎重さ…いや、悠木のその小心さがボロクソに言われてしまうという…

なんか、身に詰まされましたよ。

仕事場では、そんなに偉くない立場の僕でさえなかなか感想が浮かんでこなかったんだから、

会社で何らかの役職にある方なんかは、この悠木の姿をみたら相当ブルーになったんじゃないかと…

実際、墜落した事故原因は公式に発表されながらも、現在でも怪しいところがあるので、

この悠木の決断もそんなに間違ってもいない気はするのですが、そんな悠木の気持ちはこの当時では上司から理解をしてもらえず…

だからこそ、後で玉置にフォローしてもらったシーンは、これまた身に詰まされる訳ですが。

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ここからは少し話はそれますが、

原作やドラマ版ではどうかはわかりませんが、この映画版の中では、要所要所で現在の悠木が登山に挑むシーンがあってですね、

恐ろしいぐらいに熱い編集局のシーンが途切れ途切れ気味になって、当時の緊迫感と映画全体の疾走感が途切れがちになってしまい(集中力が切れた人もいたのでは?)、

『登山のシーンは要らんねん!』

と、心の中で何度も叫んでいた訳ですが、

この悠木の決断の後に、もしも登山のシーンがなければ、そしてもしも悠木が牧場を訪ねるシーンがなければ、

例え遺書の朗読があったとしても、観おわった後味はきっと最悪になっていたんやろーなぁ、と。

エンドロールが流れている間も、かなり複雑な気持ちになりました…。

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ここからは、ストーリーから離れた角度からの感想を。

主演の堤さんは、良くも悪くも演技を見慣れているのと、最後までの最後まで事故現場に向かえなかった事もあり、

ここまで何回も書いた様に熱かった!という以外に特に、どーこういう場面はないのですが、

その代わりに、修羅場と化していた事故現場を体感した佐山キャップ(を演じた堺雅人)と神沢記者(を演じた滝藤賢一)の、シャレになっていないぐらいの鬼気迫る演技は素晴らしかったと思います。

パンフを読む限りは、原田監督って事故の原因究明がテーマではない、という主張を前面に出す為に、

確信犯で“事故現場の表現を過剰に描きすぎない”様にしていて、

『俺は修羅場をみてきたんだ!』という演技をしづらかったのでは?と思ったのですが、説得力があったよなぁ。

皆さんは、この映画の熱さの向こうに、何を感じたのでしょうか…?

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