先日、映画『おとうと』を観てきました。

しょっぱなから率直な感想を書きますとですね…

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※公式ホームページ

《以下ネタバレ注意》
僕は蒼井優目当てで観に行ったので、まだ何とか納得はできましたが、満足には程遠い出来というかですね。

山田洋次監督って、結果的には家族愛というテーマに拘り過ぎたのか?

底無し沼の様な闇を部分を隠し持つ、鶴瓶師匠の人間としての魅力を、なーんもわからんまま撮影を終えたんやろーなぁ。

それは思いました。

昔泥酔した前田日明が、関西三文字を連呼して、完璧に修羅場の雰囲気にした角田師範代の結婚式(詳細は各自調査)を彷彿とさせる披露宴のシーンは明らかに長すぎて、まだ序盤なのに疲れてしまいましたし。

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そりゃ、山田監督が鶴瓶師匠にダメ人間を演じさせようとしたのはわかるんですけど、

ありゃほぼ間違いなく『ディア・ドクター』を観てないですよね。

もし観ていたら、あんな底が浅いダメなだけの人間というキャラにはしていない筈。

あれなら、何の為に鶴瓶師匠を起用したのか?

もったいない。

かつてアシッド映画館の平野先生が、北野武監督の作品に対して

『今は、北野監督に誰も進言ができないまま作られたのだろう』

と切り捨てていましたが、山田監督はず〜っと昔からそーいう存在になったっちゅう事でしょうか。

山田監督の映画はほとんど観てないからよくわかりませんが…。

ところで。

もし僕にキャスティング権があったならば、鉄郎役には老けたメイクを施した古田新太を起用してますね。

古田なら、数段ダメで人間臭い鉄郎を演じれたに違いない、と断言しておきましょう。

また鶴瓶師匠も、ディア・ドクターという怪演(?)の経験が有りながらも、今回の脚本と役のオファーを受けてしまったあたりからして、

松竹から頼まれたら、山田監督&吉永さんという偉大な名前にはあっさり転んでしまうという、芸能人としてのブランドに対する脆さ・弱さが思い切りあったって事なんでしょうね。

これはしゃーないのかも知れない。

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ただ、山田監督流による、施設での孤独死が免れそうもないダメな人間であっても、死に際には自然と縁のある人たちが集まってくる、そして大事な人とは繋がっている…

みたいな、鉄郎の死に際の描き方は巧いなぁ、と感心させられました。

吟子の義母の痴呆症が、あーいう形でラストの伏線になっていたのも意表をつかれたし。

さすがに、現代劇なのにリボンで手を結んで…

というのはやり過ぎの感はありましたが、

現代劇だからこそ、あれぐらい古くさい演出が際立つと計算していたならば、僕は否定できない。

もっとも僕自身は、鉄郎亡くなる前の、点滴と焼酎を間違えてどーこうの流れを観て

『それはないわ…』

と呆れた部分があったので一切泣きませんでしたが、

僕のまわりの、僕よりもだいぶ歳を重ねられているであろう観客の皆さんからは、すすり泣く声が聞こえてきました。まぁ、気持ちは分かる。

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ただ、劇中の台詞で散々言われていたぐらいに鉄郎の体はボロボロだったんやから、鶴瓶師匠はもうちょっと体重を落とすか、CG処理をしてほしかったですね。

一応、話の上では吟子が130万円を立て替え後鉄郎と喧嘩した時に鉄郎の体調不良を察したという事でしたが…

あの時の鉄郎って顔色良かったやん!ねぇ?

かつてのサイキックの中での

『あんなに顔の血色がいい板東さんが、ガンで死ぬ役を演じるなんて無理がありすぎるやろ!』

のツッコミを思い出しましたもん(笑)

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他に、僕がどーしても気になった点を書きますと、

山田監督って、医者が嫌いなのか?

小春ちゃんの最初の旦那といい、みどりのいえに出入りするお医者さんといい、もうちょっと血も涙もあるキャラ作りはできたやろって。

みどりのいえでの鉄郎の送り出したをより心に染みるものにする為、敢えてあーいう風にしたであろうところはわかるんですけど、

みどりのいえの夫婦を演じた小日向さん&石田ゆり子が反則の域に近い、暖かみのある演技を見せたんやから、

ちょっとぐらい医者を良い人にしたって大丈夫だったと思うんやけどなぁ。納得いかんなぁ。

まさか山田監督ってディア・ドクターを観ていたのか?

いや、そんな事はないわなぁ…

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いい加減遅くなりましたが、ここからは蒼井優について。

うん、良かった(笑)

年上の共演者をあんなに立てる演技ができるなんて素晴らしい。

パンフレットのインタビューを読んだら、本人はオファーが来た事に戸惑っていたそうですが、これはこれで

『嘘つけ!(笑)』

って思いました。相当気合いが入っていたんやろーなぁ。

山田監督がもう少しだけ感性がわかければ、加瀬くんと蒼井優の二人をもっとじっくり描いてたんでしょうね。これまたもったいない…

えっ?吉永さんには触れないのかって?

まぁ、リビング・レジェンドの吉永さんにどーこう言うなんて、恐れ多い事は僕にはできませんね。

今年もライオンズが優勝したらいいですね、みたいな(笑)

今回はこんな感じで。ほいじゃほいじや。

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