先週末は長谷川三郎監督のドキュメンタリー映画『ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳』を観てきました…

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※PC版公式ホームページ

≪以下、一応ネタバレ注意≫


基本的には、報道カメラマン・福島さんの反骨人生を振り返ってるんですけど、

どんな脚本家さんでも作家さんでもなかなか考えつかないであろう

『問題自体が法を犯したものであれば、カメラマンは法を犯してもかまわない』

という、福島さんの文字だけなら無茶苦茶なれど、今作を最後まで見れば筋が通っているとも言える確固たる信念の元、

取り上げられたテーマと実際に撮影された写真がどれもこれも強烈で、ノンフィクションのドキュメンタリーなのにフィクションの様に錯覚してしまった。

いや…中には、できる事ならこれはフィクションであってほしいと目を背けそうになるエピソードもありましたが、

順番としては今作の前に観た『ヱヴァQ』よりも間違いなく突き抜けた映画だったと思う。

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まぁ、平和都市としての広島を糾弾しながらも取材を放棄したコメントは正直『んんん?』と思ったりもしましたが、それも含め何とも言えない余韻が残る映画だった。

まずは『できる事ならば…』というレベルの不満点から書きますとですね。

福島さんの思いを正確に観る側に伝える為に、福島さんのインタビューには、全部字幕を付けておく方がベターだったんじゃないかなぁ。

あと、福島さんの事だから、既に何回かは行っている事が想像できたが故に、

何となく制作者サイドの仕込み臭さを感じでしまう中村吉松さんの墓参りを、敢えてラストシーンに持ってくるのではなくてですね…

もちろん、仕込みじゃなければごめんなさい、という事は書いておきますが。

作品が反原発ロケからはじまったんやからこそ、福島県の南相馬での取材シーンで本編を締める事を福島さんならば望んだんじゃないかなぁ?

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という疑念が見終わってから生まれてしまい、その点は心に引っ掛かるものがありました。

とは言え。

内容が内容なだけに着地点の設定が難しかった様に思うし、

僕ならば、福島さんの娘さんが『父親としての福島さん』と語っていたところをベタにラストに持ってきたやろーから偉そうには言えない。

また、何より福島さんが今作の本編をチェックする事は無いでしょうから(?)否定はしません。

中村吉松さんが亡くなった後遺族の方とトラブった話を聞いてしまうと、墓参りは墓参りで観ていて泣けましたし。

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話は戻って。

戦後の日本の歴史において、各マスメディアがなかなか取り上げないであろう複数の出来事の資料として、今作は観ていて勉強になりましたね。

実質的なメインテーマだったであろう、中村吉松さんとの出会いからカメラマンとして『天皇の戦争責任展』を決行するまでの福島さんの心情を聞いていたら、かなり心が痛んだ。

単に僕が勉強不足だっただけですが、ABCCと原爆スラムの話は初めて聞いたので、余計に…ね。

とにかく、福島さんの突撃取材の数々と思い出話から、今の日本そのものとマスコミなりジャーナリストなりに対する憤りは伝わってきたなぁ。

ここからは完全に私的な感情オンリーになりますが…

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パンフレットに寄稿をしている田原総一郎さんもねぇ。

単なるビジネスの一環か純粋な趣味かは知らんけど、AKB絡みであれだけメディアに露出してるなんて、福島さんと面識があるならば恥ずかしくならんのかなぁ、とか思ったし。

また、外国での取材を続ける戦場カメラマンは凄いとは思うけど、

日本でも然るべき場所を探して現地へ乗り込む度胸があれば、

外国に行かずとも戦場カメラマンと同じ様な感覚で仕事はできるんじゃないか?とまで思ったぐらいで…

ところで。

原爆絡み以外で僕が印象に残ったのは、自衛隊の基地の内部で隠し撮りをしまくって、クレームがあれば

『憲法があるのに、国民を騙したのはあなた方じゃないか。あなた方にそういうことを言う資格があるのか』

と、当時の防衛庁の広報課長にカマしたという強烈な話と、

三里塚での、機動隊と地元市民の攻防中に放送塔から『ふるさと』のメロディーが流れて…

という下りになりますかね…

こーいう時代やからこそ、こーいう映画を若い皆さんは観ておくべきや、という事を書いてこの文章を締めさせていただきます…

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