昨日は園子温監督の新作『希望の国』を観てきました。

今回は希望の国の感想を、2013年一発目の映画の話として書いていきましょう。

おうちへ帰ろうよ。

あと10分待て…

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※PC版ホームページ

≪以下ネタバレ注意≫


いやはや何というか…

とにかく重い映画でしたね。

原発の事故ではなく、原発の事故によって人生を変えさせられた人達が中心になっているのは事前にわかってはいましたが、

父と子をはじめとする、家族同士の愛にあれだけ比重が置かれているとは思わなかった。

正直、夏八木さん演じる小野泰彦夫妻の最期は気に入りませんでしたが、

脚本の完成度の高さもあってか、園子温監督が伝えたい事は伝わってきた様な気はする。

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放射能恐怖症についての描き方は生々しいなぁと思い、痴ほう症の扱い方も園子温監督ならではやなぁ、と思った。

これまでは園子温監督といえばクラシック音楽…みたいな部分もありましたが、

今回に関してはマーラーがどうこうよりも、序盤は随所で使われた地鳴りの『ゴゴゴゴゴ…』や心臓の鼓動、更には小野家の会話の中の杭が打ち込まれる音。

それらの小細工の方が心に刻み込まれてしまい、演出面の深さも感じた。

僕が観た昨日の17時開始の回は公開2週目の影響か観客は僕だけだったのですが、

幾ら作品のテーマがどう考えても一般受けはしなさそうとは言え、園子温監督が伝えたい事は一般受けしそうやから、非常にもったいないと思う…

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ここからは最初に書いた小野泰彦夫妻の最期について。

夏八木さんが素晴らしい演技をした上で作り上げた、頑固で筋が通ったキャラだったからこそ、ディープキスをした後で死んじゃいけなかったと思うんですよね。

個人的には『ヒミズ』の二番煎じと言われてでも『スミダ頑張れ、頑張れスミダ!』みたいな前向きなラストにしてほしかったぐらいやし、

ヒミズみたいなラストを改めて作る事が園子温監督的に嫌だったのならば…

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実際園子温監督は、小野家のモデルになった南相馬の農家の自宅での上映会の後で

『不幸せなみんなが…あの2人が(ラストで)幸せになっちゃうと、圏外の人に“意外とうまくやってるな”と思われる。

ちょっとでも思われたらそれは嫌だ。心に刻む為にはそれがいいと思った』

と言ってましてですね。

その理屈もわかるけど、東日本大震災の被災者が観た後の後味の悪さを考えたらちょっと…ねぇ。

もしも、小野夫妻のラストを圏外の方向けと被災者向けの2種類を密かに作っていた、みたいな隠し玉があればまだ納得はできるんやけど…

極論ですが、だったら盆踊りの後の『おうちへ帰ろう』の話の後に、おんぶのバックショットを二人のラストシーンにして、

多分死んではいないんやろーけど、二人が幸せになったのかは誰も知らない…

みたいな ぼやかし方にして、逃げ道を作っといてほしかったというか…

とにかく、小野夫妻は死なせないでほしかった…

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他の二組のラストは、小野夫妻と比べたら十分納得はできた。

放射能恐怖症に関しては、あくまで台詞とはいえ産婦人科のお医者さんが

『テレビに出てる医者が嘘をついてます』

と言い切っていたのはドキッとしたけど、いずみさんが強烈なまでの紆余曲折…

さすがにあそこまでやらんでも、と思いましたが、とにかく紆余曲折あった末に

『愛さえあれば何とかなるよ』『愛があるから大丈夫よ』

と割りきるところまで行ったのは、観ていて変なカタルシスがあったと思う。

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ミツルとヨーコの、ビートルズのCDがどーのこーののやりとりはともかく、

ヨーコが両親の事を振り切ろうとしていたのは、若い二人ならばアレしかなかったっちゃあアレしかなかったけど、納得はできましたね…

いい加減長くなったので、最後に一言。

一番最初に『希望の国』の制作が発表された時に密かに期待させられた、園子温監督流の原発事故に関連する各方面への怒りの表現は、数年後に作られるであろう新作まで気長に待つ事にします。

園子温監督、期待してますよ…

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