昨日は、香川県での上映最終日だった映画『ハッシュパピー バスタブ島の少女』を観てきました。今回はその感想を書いていきましょう。

むさぼれ!むさぼれ!むさぼれ!

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≪以下ネタバレ注意≫



新人監督さんと演技経験の無い二人が主演を張った、低予算のインディペンデント映画として評価するならば相当頑張っていたと思いますが、

その肝心な部分を除いて評価するならば

『あれだけ各国の映画祭で賞をもらっている割には…』

というのが率直な感想になりますかね。

主演の二人は素晴らしかったし、その二人を見出だしたベン・ザイトリン監督も素晴らしいとは思うけど…ね。

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予告編を見た後には、もっと早い段階で父親・ウィンクが亡くなり、例の獣達が精神的な親代わりになってハッシュパピーがちょっとずつたくましく成長していく…

みたいな、もっと ふわ〜っとした話なのかと思いきや、

話の舞台の南ルイジアナのバスタブが(パンフレットでは)コミュニティーと言いながらもバリバリのスラム街で、まずそこは予想外だった。

それで、あぁこれはファンタジーっぽいアレではなく、ハッシュパピーからの目線で描くそこで必死で生き抜く父親とその周りの人達のドラマなのか…

と思ったら、

嵐の後は魚介類をバリバリ食ってドンチャカ盛り上がって…というところは当たっていたものの、

大人は基本酒に飲んだくれててだらしない印象が強く『んんんっ?』となり、その割にはバスタブへの故郷愛が異常に強くて…

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ついでに書けば、当初は『希望の国』で描かれていた様な、大震災で被災しながらも故郷を離れられなかった人達とダブって見ていましたが、

バスタブの人達って自分達で自分達のコミュニティーにトドメをさした様にしか見えなくて…

あの喪失感と絶望感の描き方は評価しますが、大人の登場人物達に対して僕は感情移入ができなかったなぁ。

変な話、海外で特定の地域に強制退去命令が出たとして、避難地域で大人しくしているのは日本人だけなのかなぁ?

と割り切ろうとはしたけど、ケンカこそは無いけど、チームワークもあまり良くない様にも見えるし…

バスタブの子供達も基本ずっと一緒にいながらも、横の繋がりはあまり感じられなくて、

その割にはあても無いのに後半ではハッシュパピーと一緒に遠泳にチャレンジしていたもんだから『ん〜…?』となった。

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海に浮かぶナマズ料理のナイトクラブでの、ハッシュパピーの回想シーン込みのやりとりは、

浦島太郎の竜宮城を彷彿として正直泣かされそうになったけど、虫の知らせも無かったのに子供らしからぬ結構強い意思で改めてバスタブに戻り、

結果的には父親の最期を看取った辺りは『なんやそれ』となり、子供達に対しても感情移入ができなかったなぁ。

そらまぁ、終始一貫して逞しかったハッシュパピーと、

ハッシュパピーに輪をかけて逞しかったのに強制退去→入院の流れを経て弱音を吐いたウィンクの姿は目を引いたし、

そーいうところがあったからこそ最後まで観ていられたけど、それ以外の登場人物の描き方が雑に見えて…

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例の獣も、ラスト以外にももうちょっと意味がある扱いをされると思っていたので違和感はあったし…

まぁ、子供の想像有りきのキャラだから、あーいう感じにするしかなかったと言われればそーいうもんなんでしょうけど…

あれならば、もっと二人芝居的な色を強くした方が、一時的にハッシュパピーが独りぼっちになったシーンでメリハリが付けれたやろーに。何かもったいなかったなぁ…

ベン・ザイトリン監督は、主演の二人に一生足を向けて寝れませんで!という事で。

一応、パンフレットのインタビューを読む限り

『ハリウッドで作品を作りたいとは考えていません』

と言っていたりして、独特の価値観を持ってる方みたいやから、準備段階の次回作がどんな作品になるのかは楽しみにはしたいですけどね。

♪ほら船がきた…

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