一昨日は、映画『風立ちぬ』を観てきました。今回はその感想を書いていきましょう。

この世は夢…

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≪以下ネタバレ注意≫



…うん、良い映画でしたね。

主人公・二郎のキャラは偉大な二人のモデルがごちゃ混ぜにされていたのに、偉大な二人への敬意があれだけ感じられて、

予告編で散々強烈な映像を見せていた関東大震災があくまで序章でしかなくて、

ゴローさんの『コクリコ坂から』に輪をかけて子供向けではないメロドラマ的な方向に進んでいくとは思わなかったけど、

今敢えてハヤオさんと鈴木Pが作りたかった作品はこーいうものだったのだ、と割り切れば十分満足できました。

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何より映像が素晴らしかったし、

菜穂子有りきのラブストーリーとしてはこれ以上は無さそうなぐらい儚くも美しかったし、

堀越二郎の物語としては、カプローニとの絡みでやり過ぎなぐらいに出てくる夢の言葉と、ファンタジーという名のオブラートに実に巧みに包まれていた。

そんな、非常によくできた物語をですね。

映像面はともかく、その他の二つの要素とはかけ離れたクリエイター人生を送ってきた庵野さんが声優として主役を張っていて、

他の声優を担当した役者さん達とは演技力に雲泥の差があったところに関しては“大人の事情”感が全開過ぎて萎えた部分があって…

というのはマイナスポイントにはなりますし、庵野さんぐらいしかツッコミどころが無かったですね(笑)

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そらまぁ、二郎と菜穂子・二郎と本庄・二郎と加代のやりとりに、二郎とカプローニのやりとりぐらいの時間を裂いて、

“とにかく生き辛い時代”が舞台になっていたからこそ、

もっと会話のシーンに深みを持たせて当時の人たちの逞しさも表現して、余計に菜穂子の儚さを際立たせてほしかったけど、

現状の2時間6分より長くなるのはいろいろな意味で厳しいかも知れないし、

戦争がどーこうという指摘への弾除けとして、カプローニとのやりとりを観る側の印象に残さないといけなかったならば、それも仕方ないのかな…と。

ついでに書けば、2013年の映画としては間違いなく最上位にランク付けされる興業収益をあげているならば、

こーいう場で感想を書くにあたっては、何を書いてもオイシく無いが故に困っている部分もある訳ですが(苦笑)、

それでもジブリの作品としては過去の作品と比べても上位にランク付けされるべきだ、と思った次第。

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それと、僕の中での今作のポイントとして挙げておきたいのは、

作品の世界観にはまり過ぎている ひこうき雲が流れるエンドロールが終わった後に、

余韻とは違う意味で、ジブリにとって『風立ちぬ』の向こう側はどうなっていくんだろう?

と考えてしまった点。

ほら、昔平野秀朗先生がアシッド映画館で紹介していた

『既にトトロがあるんだから、トトロみたいな作品はもう作らなくていいでしょう』

というハヤオさん語録があるじゃないですか?

これを鵜呑みにするならば、ハヤオさんが『風立ちぬ』ぐらいに儚くも美しい恋愛を描く事はもう無いでしょうし、

ハヤオさんが『戦争は大嫌いだけど、戦闘機は大好き!』という矛盾を作品中でアピールする事も無いでしょう。

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となると、ハヤオさん自身がまだ隠居しないならば、もはややり残しているテーマは、

親子間の対立&絆でどーこうぐらいしか無い様な気がする。

もちろん『風立ちぬ』を最後に隠居をしてくれれば、本当に美しい引き際だとは思いますが…

あとは、庵野さんがエヴァの決着を後回しにしてまで(?)ジブリとどんなビジネスをしていくのか?

また、庵野さんきっかけでジブリに内紛を起きるのか?とかも考えてしまった(爆)

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そこら辺の事を考えてしまった関係で書くのが後回しになりましたが、

庵野さん以外の声優さんは皆凄く良かったと思うし、二郎を含めた主要キャラクターは皆キャラ立ちしていた様に思いましたね。

特に瀧本美織…かなぁ。

『てっぱん』を観とけば良かった、とか思ったし(笑)

もしこの文を最後まで読みながらもまだ観られていない方が居られましたら、瀧本美織を注目すべきポイントとして書き記して、この文章を締めさせていただきます。

飛行機は美しくも呪われた夢だ…

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