昨日は、高畑勲監督の最新にして最後になるかもしれない映画『かぐや姫の物語』を観てきましたので、その感想を書いていきましょう。

たーけのこ、たーけのこ…

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※公式ホームページ

≪以下ネタバレ注意≫

エンターテイメントとしては間違いなく地味な部類に入るので、万人受けには遠く好みははっきり分かれそうですが、

日本古来伝わる原作と、絵本というこれまた日本古来から伝わる文化を進化させた上で、

世界に通用する日本のアニメーションというジャンルをも進化させた…

とはいえ、明らかにやり過ぎであろう 製作期間8年!製作費50億円!という数字有りきの水墨画っぽいあの画風は、

高畑監督オリジナルのスタイルとして確立した&突き抜けてしまったと思うので、

他の日本のアニメ作家さんはそんな高畑監督を取り巻く環境を羨むばかりで、とてもじゃないけどその進化には付いていけず、

時間が経つといつの間にか“孤高の大傑作”扱いされていそうな気はしますが、それはそーいうものだと割りきれてしまう…

そんな、芸術作品としてはもう素晴らしいとしか言い様が無いですね。

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どちらも見終わると切なくなるストーリーは共通していますが、

ハヤオさん&庵野監督が織り成す『風立ちぬ』の世界観を無理矢理“陽”と例えるならば、

今作の世界観と画風はまさしく“陰”と言った感じで、

それ以外のところでの両作の対極度合いも実は両作を評価するポイントになっていた様な印象も残った。

ジブリがどちらも今年中に公開してくれたのは本当良かったと思うなぁ…

それではここからは、エンターテイメントとして観た時の、今作の不満点を書いていきましょう。

だって、繰り返しになりますが芸術作品としては素晴らしいとしか言い様が無いですもん。

むしろ『かぐや姫の物語』に限っては、僕は今作をこう思った等と書いた事で他の方がそれをどう思ってくれるのか?という事(そもそもそれが僕がブログをやってる理由のひとつやし)よりも、

そこまで手間隙と金をかけた芸術作品が、いざ海外ではどんな風に評価されるのか?の方に興味があるぐらいやし…

もしかしたら大半の国で『長げぇよ!』の一言で片付けられるかも知れないけど、それもそーいうものだという事で…

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話は戻って、不満点を改めて書いていきますとですね。

竹取物語はあくまでお伽噺なのに、2回も夢オチを使っていたのは『えええぇっ!?』となった。

アレならもういっそのこと、二度ある事は三度ある!やないけど賛否両論覚悟で原作のオチを拡大解釈して、

翁(おきな)と媼(おうな)と かぐや姫との出会いから全てが『ハイスクール!奇面組』的な長い夢だったor登場人物達がかぐや姫に関わったのは夢じゃなかったけど、

かぐや姫同様にいつの間にか紫の羽衣を着せられて記憶が消されていた…

という力業を見せてほしかったぐらい。

エンターテイメントとして評価するならばその点はスカされたと思うし、

それを筆頭に高畑監督なりの原作の解釈なりアレンジの仕方には、違和感を感じたところは正直ありましたね。

また、夢オチなら夢オチでですね。

月に帰る前に かぐや姫と捨丸が再会して過去の高畑監督作品のオマージュっぽく空を飛び回るシーンなんて、目覚めた捨丸の近くに着物が落ちていて

『実はこれは夢ではなかったのではないか?』

みたいな心の引っ掛かりを、観る側に残す事さえもしてなかったもんなぁ。

それをやってくれていたら、三日三晩続いた宴の途中に観た夢の時に着物をバババババババッ!と脱ぎ捨てて言ったシーンも、

実は伏線だった、みたいな映え方も作れていた筈なのにスカされたよなぁ。

まぁ、そーいうのも高畑監督らしさなのかも知れんけど、僕の中では“無い”かなぁ。

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それと、月からの使者達が仏像みたいな連中だったのも『えええぇっ!?』てなった。

あそこは、できたらウサギないしはウサギ的な架空の生物を紛れこませておかなきゃ嘘でしょ。

だって月にはウサギが居て餅をついてるんやから!?

アレだと海外の人に『日本人は月に仏が居ると思っている』と誤解されますよ。ねぇ?(笑)

なーんて冗談はともかくもう一つ不満だった事を書けば、地井武男さんの追悼のテロップが無かったのは…ねぇ。

最初でも最後でも、ほんの数秒だけでもあってほしかったなぁ…

ここからは、エンターテイメントとして僕が評価しているところを。

原作がどんな風になっているのかは詳しくは知りませんが、

かぐや姫の目線から観た他の登場人物の描かれ方と、かぐや姫と媼(おうな)の関係が“男性がイメージしている女性目線”として丁寧に描かれていて、

翁(おきな)も含めた都の男性陣の欲にまみれた姿が、本来ならばどこまでも高貴であるべきなのに滑稽にも見えたし愚かにも見えたし、

鳥の巣をアレしていて転落してどーこうなんて悲しさしか残らなかったし、

かぐや姫が大いに悲しんだのもわかるし、その悲しみは御門とのやりとりでSOSが発信されて、

月へ帰還するまでの前振りとしては、完璧だった様に思うし…

『都の男性陣がそんなんやったら、身分や暮らしはどーあれ かぐや姫はやっぱり捨丸兄ちゃんに惹かれるわなぁ。女性の幸せってそーいうもんなんやろなぁ』

と思わせた描き方は良かったですね。

これに関しては女性の皆さんがこれをどう感じたかも気になるけど、果たして…

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その次が、声優を担当した役者の皆さん(ジブリの製作部の部長さんも担当したらしいが)の声の演技のクオリティの高さ。

そら、まず声有りきの前提で作画をしたら当たり前レベルの話なのかも知れないけど、

『風立ちぬ』における庵野監督の起用に心底がっかりさせられた穴埋めをして余りある…

というかですね。

ジブリはあーでなきゃいけませんよ、みたいな感じです。

そうそう。

終わってみれば、一番の『姫の犯した罪と罰』とは高畑監督のイメージはどうあれ、

翁(おきな)と媼(おうな)を悲しませた事だったのだろう…と思わせた別れのシーンも忘れちゃいけませんね。

ベタですが、泣けました。

最後に、今作で僕が一番印象に残ったシーンを。

それは、かぐや姫の夢の中のダッシュのシーンの美しさ。

予告編で使われたシーン以降も、追ってくる者は居ないのにあんなに突っ走っていたとは。ありゃ圧倒されたなぁ。

それでは今回はこんな感じで…

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