今回は、先日観てきた映画『バケモノの子』の感想を書いていきます。
強さとは何ぞや…
※PC版ホームページ
≪以下ネタバレ注意≫
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しょっぱなから総括を書けばですね。
細田監督の作品なのでハードルはかなり高めにしていた訳ですが、
それを
『行っけー!』
の勢いで飛び越えるぐらいに冒険活劇として面白かったのは面白かったんですけど、
一郎彦が闇の部分に支配され悪くなって、すぐに熊鉄が貫かれてからの展開には
鯨?はぁ?
みたいな感じで最後までノレなくて無茶苦茶不満が残ったなぁ。
小さな不満としては。
渋谷の町並みの中に(おそらく)今作の制作費をバックアップしていたであろう各種企業の看板が映りまくっていて いい加減げんなりとさせられたり。
九太があくまで偶然がきっかけとは言え、後半は簡単に渋谷と渋天街を行ったり・来たりしながらも、
そこまで大したリスクが無かったのって、時をかける〜においてタイムリープをしまくった末に、というのを描いていた細田監督の作品にしてはツメの甘さが見えた気がした…
というのもありますが、心の闇がどーこうのと比べたら小さい小さい!?
まず何より、おおかみ〜でスタジオ地図作品の、グラフィック面のシャレにならないぐらいのクオリティーの高さは実感していたつもりでしたが、
バケモノ〜は、ジブリの千と千尋の世界を巧い事アレンジしつつ、
サマーウォーズのozの世界のスケールの大きさを更に広げていた渋天街の描き方を中心にして、それらを越えていてびっくりさせられた。
ビジュアル面だけではなく、サマーウォーズで大家族の繋がりを掘り下げて、おおかみ〜では母と子供のつながりと子供の独立について掘り下げていて…
もっとも、おおかみ〜の独立の内容は個人的にはあまり気に食わなかったけど(爆)
それらがあっても、九太と熊鉄による、仮想の父と子供の繋がりと師弟関係の描き方と掘り下げ方は、
細田監督の『これでもか!』というぐらいの拘りと熱さが伝わってきて、
日本のアニメにおける『父と子』の関係の描き方の、ひとつの完成形を見せてもらった様に思ったので、その点においては完璧だったんじゃないでしょうか。
変な話。
『風たちぬ』の庵野さんとは違って、役所さんと宮崎あおいをはじめとして演技が達者な役者さんが、
気合いを入れて声優をやったらやっぱりシャレにならないって事を実感させられたのに、それが霞んでいたぐらいでしたしね。
大泉先生が声優として頑張っていたのに、終始リリーさんの横にいたら霞んでいたのって衝撃的やったなぁ…
されど、九太と熊鉄の関係の掘り下げ方に気合が入り過ぎていたのか?
渋谷での蓮と他の人間の関係の描き方は正直味気なくて、そーいう意味ではバランスをとる事の難しさは感じましたが、それは贅沢になるのかなぁ…?
とにかく、最初に書いた本当大きな不満がありながらも、満足はできましたね。
子の親になった事がある、無いを問わず大人ならば観ておいた方が良いでしょうね。
九太と熊鉄について。
熊鉄のスパルタ指導の内容が長嶋茂雄さん色が強かった事もあって、それは巨人の星の様でもあり。
九太の成長が認められて熊鉄の弟子が増えたのはいいけど、あまり頼りにはならないところは あしたのジョーの様でもあり。
過去のアニメで観た記憶がある様な描かれ方ながらも、九太には人間の世界に蓮としての父がいて最終的には実の父の元に戻る、
という視点の置き方によってはまさかの着地の仕方も、おおかみ〜での不満点を解消させてもらいましたね。
だからこそ、あぁだからこそ。一郎彦の心の闇がどーこうは不満が残りましたね。
ここからはそんな心の闇云々かんぬんについて。
そらまぁ、九太が弟子になる前に人間は心の闇があってどーこうという台詞によるであったり、
次期の宗師決定戦の直前に一郎彦が庭で九太がボコボコにする、という前振りはありましたが。
結局、スターウォーズのエピソード1〜3であったり、一連のエヴァシリーズであったり。
ぶっちゃけた話
『そーいうのは散々観てきたから、もうええねん!』
って思いましたもん。
わざわざ細田監督の作品でも、そんなんは観たくなかったですよ。
心の闇のくだりがあーなるのをGoサインを出すなんて、
それこそ細田監督が、ビジネスをあからさまに優先してしまうという意味でのダークサイドに堕ちた様な印象を受けたし。
誰が一体細田監督をダークサイドに誘ったんや!?ええ加減にせえよって話で。
見せるにしても、他の作家とはもうちょい違う、細田監督ならではの描き方も掘り下げ方もあったんちゃうか?
渋天街やのうて、バケモノ達よりも弱い人間ばかり居る渋谷を破壊しまくるって何よ?ねぇ?
肝心の宗師争いよりも、何でも有りの弟子同士の争いの方がスケールが数段大きいなんて、もっとどないかならんかったんか?ねぇ?
ほんでもって、全編に渡ってあれだけ九太と熊鉄の関係を描きながらも、
闇に落ちた一郎彦を元に戻すのが猪王山&二郎丸やなくて結局は九太だったなんて、
『何やねんそれ?』
ってなった。
う〜む…
この点についてもっと書いたら、折角今作で褒めてきた事を自分でかき消す様な気がするのでこれぐらいにしておきますが…ねぇ。
今回はこんな感じにしておきます…
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細田監督の作品なのでハードルはかなり高めにしていた訳ですが、
それを
『行っけー!』
の勢いで飛び越えるぐらいに冒険活劇として面白かったのは面白かったんですけど、
一郎彦が闇の部分に支配され悪くなって、すぐに熊鉄が貫かれてからの展開には
鯨?はぁ?
みたいな感じで最後までノレなくて無茶苦茶不満が残ったなぁ。
小さな不満としては。
渋谷の町並みの中に(おそらく)今作の制作費をバックアップしていたであろう各種企業の看板が映りまくっていて いい加減げんなりとさせられたり。
九太があくまで偶然がきっかけとは言え、後半は簡単に渋谷と渋天街を行ったり・来たりしながらも、
そこまで大したリスクが無かったのって、時をかける〜においてタイムリープをしまくった末に、というのを描いていた細田監督の作品にしてはツメの甘さが見えた気がした…
というのもありますが、心の闇がどーこうのと比べたら小さい小さい!?
まず何より、おおかみ〜でスタジオ地図作品の、グラフィック面のシャレにならないぐらいのクオリティーの高さは実感していたつもりでしたが、
バケモノ〜は、ジブリの千と千尋の世界を巧い事アレンジしつつ、
サマーウォーズのozの世界のスケールの大きさを更に広げていた渋天街の描き方を中心にして、それらを越えていてびっくりさせられた。
ビジュアル面だけではなく、サマーウォーズで大家族の繋がりを掘り下げて、おおかみ〜では母と子供のつながりと子供の独立について掘り下げていて…
もっとも、おおかみ〜の独立の内容は個人的にはあまり気に食わなかったけど(爆)
それらがあっても、九太と熊鉄による、仮想の父と子供の繋がりと師弟関係の描き方と掘り下げ方は、
細田監督の『これでもか!』というぐらいの拘りと熱さが伝わってきて、
日本のアニメにおける『父と子』の関係の描き方の、ひとつの完成形を見せてもらった様に思ったので、その点においては完璧だったんじゃないでしょうか。
変な話。
『風たちぬ』の庵野さんとは違って、役所さんと宮崎あおいをはじめとして演技が達者な役者さんが、
気合いを入れて声優をやったらやっぱりシャレにならないって事を実感させられたのに、それが霞んでいたぐらいでしたしね。
大泉先生が声優として頑張っていたのに、終始リリーさんの横にいたら霞んでいたのって衝撃的やったなぁ…
されど、九太と熊鉄の関係の掘り下げ方に気合が入り過ぎていたのか?
渋谷での蓮と他の人間の関係の描き方は正直味気なくて、そーいう意味ではバランスをとる事の難しさは感じましたが、それは贅沢になるのかなぁ…?
とにかく、最初に書いた本当大きな不満がありながらも、満足はできましたね。
子の親になった事がある、無いを問わず大人ならば観ておいた方が良いでしょうね。
九太と熊鉄について。
熊鉄のスパルタ指導の内容が長嶋茂雄さん色が強かった事もあって、それは巨人の星の様でもあり。
九太の成長が認められて熊鉄の弟子が増えたのはいいけど、あまり頼りにはならないところは あしたのジョーの様でもあり。
過去のアニメで観た記憶がある様な描かれ方ながらも、九太には人間の世界に蓮としての父がいて最終的には実の父の元に戻る、
という視点の置き方によってはまさかの着地の仕方も、おおかみ〜での不満点を解消させてもらいましたね。
だからこそ、あぁだからこそ。一郎彦の心の闇がどーこうは不満が残りましたね。
ここからはそんな心の闇云々かんぬんについて。
そらまぁ、九太が弟子になる前に人間は心の闇があってどーこうという台詞によるであったり、
次期の宗師決定戦の直前に一郎彦が庭で九太がボコボコにする、という前振りはありましたが。
結局、スターウォーズのエピソード1〜3であったり、一連のエヴァシリーズであったり。
ぶっちゃけた話
『そーいうのは散々観てきたから、もうええねん!』
って思いましたもん。
わざわざ細田監督の作品でも、そんなんは観たくなかったですよ。
心の闇のくだりがあーなるのをGoサインを出すなんて、
それこそ細田監督が、ビジネスをあからさまに優先してしまうという意味でのダークサイドに堕ちた様な印象を受けたし。
誰が一体細田監督をダークサイドに誘ったんや!?ええ加減にせえよって話で。
見せるにしても、他の作家とはもうちょい違う、細田監督ならではの描き方も掘り下げ方もあったんちゃうか?
渋天街やのうて、バケモノ達よりも弱い人間ばかり居る渋谷を破壊しまくるって何よ?ねぇ?
肝心の宗師争いよりも、何でも有りの弟子同士の争いの方がスケールが数段大きいなんて、もっとどないかならんかったんか?ねぇ?
ほんでもって、全編に渡ってあれだけ九太と熊鉄の関係を描きながらも、
闇に落ちた一郎彦を元に戻すのが猪王山&二郎丸やなくて結局は九太だったなんて、
『何やねんそれ?』
ってなった。
う〜む…
この点についてもっと書いたら、折角今作で褒めてきた事を自分でかき消す様な気がするのでこれぐらいにしておきますが…ねぇ。
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コメント
コメント一覧 (4)
感想を見たところ「時をかける少女」「サマーウォーズ」はこえられなかったみたいですね。
>バケモノ達よりも弱い人間ばかり居る渋谷を破壊しまくるって
完璧な父親が敗れたことで、絶望してるわけですよ。強い相手と戦いたいわけじゃない。だからこその心の闇であって。弱い立場の者に刃が向かう酒鬼薔薇と同じ。
>宗師争いよりも、何でも有りの弟子同士の争いの方がスケールが数段大きい
だからこそ心の闇を持つものを恐れたと。宗師でさえ手におえないから。
>一郎彦を元に戻すのが猪王山&二郎丸やなくて結局は九太
厳密には九太と(剣になった)熊鉄ね。家族ではもうどうにもならん怪物になったわけだから。通常の姿に戻ったところからが家族のサポートが必要なんだろうけど、そこまで描く時間がなかったと(苦笑)。
まあむしろ僕から文句を言えば、あまりにもあの女の子(楓)が理想的すぎると。
絶対、九太が受験の邪魔になってるやろと(苦笑)。
八年間まったく勉強してない人間が女の子のサポートくらいで大学行けるのか(^^;)。
ま、そこの方がよっぽどファンタジーではありますね(笑)。
「鯨」とは何を暗示してるのか、は見るものに委ねされるでしょうねえ。
あと、ホントは実の親父さんも「ずーっと九太のことを思っていた」という点であまりに受容的なのであって、そこが最後の居場所でいいのか、てのはありましたね。だからラストが正直弱かったと。
最終的には『父親は心の中の剣になってやれればそれでいいんだ」というメッセージなはずなので、そこをもうひと押し出来なかった。ゆえの弱さかなと。
まあ色々考えさせる時点で、良い作品ではあると思います。
何も考えさせられず、ただただ呆然とするしかなかったエヴァQよりはねえ(^^;;;)。
同じく。ラストの、九太VS一郎彦の渋谷決戦にさほど乗れなかったのは、それまでの関わりが薄すぎるからしようがないっちゅう話ですよねー。
初期設定では「楓」は男友達にするつもりだったんだそうです。
恋愛要素とか一切無しでも良かったと思っている自分にとってはやはり「一郎彦と楓を同一人物にしちゃう」ストーリーが観たかったなぁー。
一郎彦は自分を捨てた人間を恨み、人間界全体への逆恨みで渋谷で暴れる、という展開だと、ラストのカタルシスももうちょっと違ったのかな〜、と。
まぁこれまでの脚本担当が奥寺佐渡子先生だっただけに、細田監督では荷が重たかったのかも知れませんね。
やっぱりハナから奥寺大先生にお願いしとけばよかったのに…。