昨日は三池崇史監督版・映画『愛と誠』を観てきました。今回はその感想を。

何や、月光仮面みたいやな…

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≪以下ネタバレ注意≫


面白かったか?面白くなかったか?と問われたら、面白かった!と僕は間違いなく答えられる。

でも、三池崇史が監督として携わっている作品として評価するならば『満足できた』というには無理があると言わざるを得ない。

例えばこれが、無名の監督さんor長編映画を作った経験が無い監督さんとかならば、絶賛に近いぐらいの高評価をした筈ですが。

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いやね、今回の『愛と誠』は言うまでもなく原作レイプではあったんですけど(爆)、

ある程度歳をとっている野郎ならば誰でも知ってる梶原一騎ワールドに、

本当に原作をリスペクトしているのかを観る側に察しさせない勢いでミュージカルの要素を混ぜ込み、

誰も想像すらできないレベルの別の作品に仕上げたのはアイディア賞もんだと思う。この点はリスペクトします。

三池崇史の名前がなければ、今作の企画書で各企業から賛同を得て金を募る事は困難だったでしょうし。

しかし、今作で一番評価できるポイントは“そこ”だった様に思える。

三池崇史作品としてエンターテイメントの方向に針を振りきっていながらもは作り込み方が甘く、

その矛盾は三池崇史らしくないやろーと僕は言いたい訳ですよ。

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世間に名前の通った俳優さん達が、インド映画かミュージカルかと錯覚するぐらいに歌い・踊る映画としては『嫌われ松子の一生』の方がエンターテイメントとしての完成度が高かった。

また、嫌われ松子の方が、通常のシーンとミュージカルシーンの繋ぎ目はきれいだったと思うし、全体的な編集も良かったと思う。

CGの使い方も含めた、ゲスさを強調した美術面は『愛と誠』の方が良かった様な気はしますけどね。

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妻夫木聡の役者としての潜在能力の引き出し方は『マイ・バック・ページ』の山下敦弘監督の方が上手かったよなぁ。

ただし、CM以外の演技を初めて見た武井咲に関してはノーコメントで。

僕、彼女の名前を『たけい えみ』と読むのも今日知ったぐらいやし(苦笑)

この二人以外の役者さんの演出について書けば。

岩清水の斉藤工は文句なく合格・ガムコも合格(笑)

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しかしそれ以外は『ヤッターマン』や『一命』とは違って、まずは役者さんをでたらめなキャラに当てはめて、歌って踊らせる事に比重を置き過ぎていた様に見えた。

大体、三池嵩史が妻夫木聡に、台詞の中であれだけ

『頭おかしいんじゃないのか?』

と言わせながらも、独特の世界観に見合うぐらいの、役者さんの狂気性を引き出そうとはしていなかったですよね。

園子温のスパルタ演出の強烈な世界を見慣れていた影響もかなりあるけど、そこは残念だった。

これって、僕の見方が厳しいのかなぁ?そーでも無いですよねぇ?

特に大野いとなんて、中盤からいきなり女子トイレに現れて、良い具合でインテリマグロっぽいキャラを演じさせていながら、

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裏番である事が明らかになってからもマグロのまんまで『わたしの生い立ち』の寸劇以外で、氷の様な怖さを感じさせないままフェードアウトするなんて、もったいない。

余貴美子さんにしたって、線路のシーンでのリハーサルではきっと

『あれっ監督、私こんな程度の感情表現でいいの?』

と思ったやろーと邪推してしまいそうですよ。

前田健も、あの程度の演技で、ラストに誠を背後から刺す大役を任せられるなんて百年早いわって話で。

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基本、僕の中では『愛と誠』に限らず、極めてコメディっぽかったり全体的に緩かったりしても、

真面目にとことん最後まで演技をやりきれば、観る側の心に強く響くもんだと思っているので余計に…ね。

えっ?伊原剛志さんはどうなんだって?

…おめぇはそれでいいや。

♪ワーオ、ワーオ、ワオー(笑)

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最後に取り上げるべきポイントは、この『愛と誠』は客入りが非常に厳しいらしい点でしょうか。

僕が行った時は一日一回の上映+毎月1日のサービスデー+日曜日という条件下だったもんやから、20人ぐらいはいましたが、

3週目である今週末をもって打ち切られるシネコンもあるらしい。東映も角川も確実に頭を抱えてそう。

皮肉なもので、実際に観たらその惨状も何となく納得できる…かな。

プロモーション面を筆頭にガラガラの要因はいろいろあるんでしょうし、この場で徹底的に掘り下げるつもりはありませんが、

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元々相当灰汁が強い作品なんやから、開き直って

『これは和製のキル・ビルPART1か?』

と錯覚するぐらいに、喧嘩のシーンでは血が飛び散る様な残酷なアレにする手もあったんじゃないか?とは思った。

万が一武井咲の名前がそっちの面でのネックになったのならば辛いよなぁ。

とりあえずミュージカルの色が強い原作レイプのジャンルは荒れ野原にはなったのかもしれませんが、開墾し直す価値はまだある様に思う。

三池崇史監督でも別の方でもいいから、またいつの日かタイミングがあえば『愛と誠』を越えるぐらいの、歌って踊る原作レイプ映画(?)を作ってほしいものです。

♪また会う日まで 会える時まで…

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