先日はアメリカ生まれのドキュメンタリー映画『二郎は鮨の夢を見る』を観てきました。今回はその感想を書いていきましょう。

六本木で死んでこいって言ったんですよ…

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※PC版ホームページ

≪一応、以下ネタバレ注意≫



基本男性しか出てこない男臭いドキュメンタリー映画でありながらも、

主人公の小野二郎さんが人間国宝か神様の様に見えてきて、

壮大なBGMに乗せて紹介されるお任せコースの寿司の数々が、

芸術品の域にまで到達していた様に見える錯覚をしてしまい、

しかもラストには二郎さんが

『ミシュランに掲載される時に食べてもらった寿司は、禎一が握ってたんですよ』

と発言をして、二郎さんの技術が一代限りに終わらない事をアピールする形で見事なオチを付けたもんだから、

進行は淡々としていながらも、変な話下手なアクション映画やファンタジー映画を観ているよりも圧倒されてしまった。

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ほんでもって、昔ダウンタウンの松っちゃんが作詞をして、マッキーと浜ちゃんが歌った『チキンライス』の歌詞風に書けば、

♪やっぱり俺は廻る寿司がいいや

と必要以上に謙虚な気持ちになってしまった。これは誤算(苦笑)

その結果、すきやばし次郎で超高級寿司を食べるなんて“夢のまた夢でそのまたもういっちょ夢”状態になってしまった、

まるでグルメじゃない自分自身が切なくはなりましたが…とにかく丁寧に作られていて心地よい映画でしたねぇ。満足。

思い返してみれば。

序盤にして、その握り寿司の美味しさと並行して すきやばし次郎の

『お酒類は飲めない上に約15分で3万円』

という驚愕の相場が紹介されたもんだから、

御年87歳の世界最高齢のミシュランガイド三ツ星料理人・小野二郎さんもきっと『ニッポンの嘘 報道写真家 福島菊次郎90歳』みたいに相当どギツイ方なのだろう…

と勝手に妄想をしていましたが、なかなかどうして。

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時代の流れと自らのコンディションに併せて微妙に変わってるところはあるものの基本的には頑固みたいやし、

人間としての内面の強さの部分に関しては、福島菊次郎さんと共通していそうな気はしましたが、その逆に外面に関しては思いきり正反対だったなぁ、と(笑)

喋るの内容は字幕がなくてもちゃんと聞き取れたし、長年お客さんの前に出ているだけあって背筋はピンとしていて、佇まいに品もあった。

ついでに書けば

『自分が美味いものを食べなきゃ、美味いものを作れない』

と言い切り相当なグルメであろう事を伺わせて、

実際に中盤浜松市に行っていた時には鰻丼を食べていたから、その食への探求心はすっげえなぁって思った。

また、デヴィッド・ゲルブ監督が寿司職人に対する最大級のリスペクトを込めて、

その職人が作り上げた寿司を、極端な話芸術品・貴金属と同じ様なノリで丁寧に扱いながら撮影をしていた事で、

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本作を最後まで観れば、確実に

『そら、ここまで最高級の素材を求め続けて妥協をしなければ、どーしてもそれぐらいの値段にはなるわなぁ』

と納得させられる様な構成も、素晴らしかったんじゃないでしょうか。

寿司のネタになる数々の魚に関して、築地の市場に取材に行くのは想定内でしたが、

ダメ押しの様にお米の業者さんが出てきてコメントをしていたのは『味の追及の為にそこまで徹底的にやるのか!?』と思ったもんなぁ。

よって、KLYさんが調布シネマガジンの中で書かれていた

『お膝元のことを日本人監督が映画化しないでどうするのよ!と思わずにいられない』

という感想には、僕も大いに賛同ですね…

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そうそう。

この映画のポイントとして絶対に触れておくべき、小野二郎さんの二人の息子さん・禎一さんと隆士さんについても書かなければいけませんね。

僕自身は次男なもんで、隆士さんが修行を経て独立するにあたり、

父と兄が拘った部分を引き継いだところと(どちらかと言えば)そうでもないところのメリハリの付け方が、余計にカッコよく見えたというかですね。

どちらかといえば、すきやばし次郎の六本木店で食べる事ならば“夢のまた夢”にしてもいいのかも、なんて思ったし(笑)

最後に。

この作品でちょっとだけ不満が残ったところを書けばですね…

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山本益弘さん、褒め過ぎ。当然デヴィッド・ゲルブ監督がそーいうのを求めたにしても、褒め過ぎ(笑)

そらまぁ、実際に すきやばし次郎の寿司を食べたら褒めちぎるしかないんやろーけど、

一応今作のストーリーテラーを兼ねている重要なポジションなんやから、そないにあっさりと

『これはもう奇跡としか言い様が無いんですよね』

と言い切ったらアカンでしょ。ステマやないねんから(笑)

山本益弘さんをストーリーテラーにするのではなく、デヴィッド・ゲルブ監督自らストーリーテラーになっていた方が、という事で。

働かなかったら退屈でしょうがないんですよ…

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