昨日は、先に前売り券を買っていた『マン・オブ・スティール』を後回しにして、渡辺謙さん版『許されざる者』を観てきました。

今回はその感想を書いていきましょう。

もし森で熊に会ったら…

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※公式ホームページ

≪以下ネタバレ注意≫



まずは、オリジナル版を観た事が無いので比較してどーこうは書けないので、その点はご了承下さい…と。

結論から書けばですね。

渡辺謙さんが主演で柄本明さんが横にいるという、今年公開される邦画では多分一番重みのあるキャスティングに見合う、重いテーマとストーリーと御二人の重い演技。そして美術&北海道のロケーションではあったと思います。これは間違いない。

でも、オリジナル版に対するリスペクトの思いが強過ぎたのか?

結果的に周囲が謙さんに対して気を遣い過ぎていたのか?

李監督が、虐げられる女郎とアイヌのどうしようもない悲しさを描くのはキチッとしていたのと反比例する様に、ハードボイルドを描くのは大して上手くなかったのか?

何かこう…クライマックスで十兵衛の刀が大石の腹に刺さったまま折れた時の如く、突き抜ける感がなくてツメの甘さを感じたというか…

悪い奴は皆死んだもののやはり虚しさしか残らなかったけど、それなりに希望を残したラストシーンは好きなんですよね。

だからこそ…みたいな。

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一番物足りなかったのは、引っ張れるだけ引っ張った筈の十兵衛の人斬りとしてのスイッチが入っても、また酒が入っても、そんなに代わり映えしなかった点。

えっ、もしかして謙さん演技あまり巧くないのか?って一瞬疑ってしまったぐらい。

なつめからも指摘されていた『罪を背負った背中』をアップにするバックショットをオープニングからちょこちょこ織り混ぜていたら、

人を斬る回想シーンをそないに何回も入れなくても、

また、クライマックスの殺陣のシーンも“人斬り十重衛”の異名の割には

『R−12ならこんなもんなんかなぁ』

レベルで終わっていても、

十兵衛が背負う“業”を観る側に伝える事はできていた筈なんやけどなぁ…もったいなかったよなぁ…

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柄本明さん演じる金吾もアレだけ渋くて存在感があったのに肝心なところで

『石炭ビジネスは嘘かい!』

って感じでガクーッてさせられたのですが、捕まって折檻されて、最終的には門の飾りにまでなってしまう壮絶なやられっぷりを観てしまったら、さすがにもったいない…とは言えないですね(苦笑)

佐藤浩市さんもなぁ…

ヒゲダンスをやりそうなボリュームの口ヒゲもそうだし、硬い役から柔らかい役までいろいろ演じ過ぎているから、

今回は大悪役を演じていても“役のひとつ”にしか見えなかったので、そーいう意味での違和感があって…

そう、永遠の『タイタニック』俳優のディカプリオが『ジャンゴ』でイカれた悪役を演じていたのを観た時と、似た違和感かも知れない。

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もし『ジャンゴ』の時みたいに、ディカプリオよりも実は常に傍らにいらサミュエル〜の方が極悪人だった…という一捻りがあったならば

『ほぅ…』

となったんですけど、それを期待していた近藤芳正さんは十兵衛に真っ先に撃たれてしまうし。がっかりですよ(苦笑)

何というかなぁ。

身長面で渡辺謙さんとのバランスと

『勝って生き残った者が正義で、負けて死んだ者が悪になる…』

の重い台詞を言った時のサマになり方を考えたら、大石役は佐藤浩市さんがベターだったと言われたら否定はしませんが、もうちょっと何というかしてほしかったです。

そらまぁ、中盤に國村さんをアレだけボッコボコにしてしまう狂い方はすげーなぁ、と思いましたけど、

以前『ゼロ・ダーク・サーティ』の様々なパターンの拷問シーンを観ていたもんだから、十兵衛の時といい金吾の時といいほぼワンパターンだったのは何かこう…ね。

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あっ、そうそう。

最後に、冒頭に書いたところ以外に褒めるべきところを書きますと。

高値安定の小池栄子はともかく、忽那汐里の終始一貫していた悲しげな表情は良かったですねぇ。

アレだったら、予告編でもうちょっとプッシュしてあげても良かったのにね。もったいない…

ん〜、何かこの映画の感想は“もったいない”ばっかり書いてる気がする。

モノ書きも、結局武勇伝を仕上げたのかどうか、後日談もなかったからわからず、それももったいなかったし…

リメイク版とオリジナルと比較できない立場の僕なのに、一体何なんやろ(苦笑)

キリがなくなるので、今回はこんな感じで終わります。

いつかあの人が戻ることを、信じて…

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